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執筆者の写真Ryusaku Chijiwa

鬩(せめ)ぎ合いの構図。

2024年12月26日


クリスマス恒例の音楽番組である小田和正の「クリスマスの約束」を見た。全くの小田和正ファンではないし毎年必ず見逃さないというわけでもないが、彼の美しい声はとにかく素晴らしいと常々思っている自分。中居正広がゲスト出演した2005年の回は趣向も構成も良く実に楽しかった。制作側としても音楽バラエティとして望みうる出来栄えの物だったろうと当時は思ったが、以降番組は下降線を辿っていくことになる。目新しいゲストもあまり出ずマンネリ気味、というのが個人的な印象だったが特に大失敗だなと感じたのが2009年の回。壮大な演出で感動を呼びたいとの思いが小田さんにはあったのだろうが、思いとは裏腹にそれほどの見栄えもなく多彩なゲストを並べたとはいえ各人の魅力が遺憾なく発揮されたとは言い難いもの。スタッフとの衝突もそのまま放送されていたが、ゲストたちが口にした厳しい意見、テレビ屋さん方が理解できないと言った率直な意見に自分も完全に同意であった。小田さんとスタッフのボタンの掛け違いが生じる契機となったのもこの時だったと思っているが、最終回の今回、二部構成でその因縁の2009年の回が丸々再放送されたのには驚いた。どういう経緯でこうした放送になったのかはわからないが、これを敢えてもう一度放送するとしたスタッフ側はまるで何かを突き付けるような思惑があって、受けて立つ小田は自分の正しさを改めて証明するのだという矜持があったような気がしてならなかった。残念ながら結果は明白だと改めて感じた次第。小田さんの一番の魅力はソロイストとしての歌声なのであって、それが大きく影を潜めるような演出をしたところで誰が喜ぶというのか。あの「WE ARE THE WORLD」が実に感動的であったのは構成と見せ方、聴かせ方の見事さであったと思っているが、その雰囲気にさえ遠く及ばない凡作であったことを改めて見せることになってしまったのではと、しつこいながら個人的には感じたクリスマスの夜であった。


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