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表現すること。

執筆者の写真: Ryusaku ChijiwaRyusaku Chijiwa

更新日:2月24日

2025年2月23日


今日は専門学校の教え子たちの進級・卒業発表会へ。最後の授業から二週間ぶりなので久々ということでもないが、講師としてではなく観覧者としての参加。昨年の9月に同じような発表会に来ているので生徒たちがどの様に成長したかを改めて確かめる良い機会でもある。

ダンス、歌、そして寸劇と様々な形で発表される多彩なプログラム。稽古は大変だったろうなあと親になったような気持ちで見つつも自分も若き日に発表会で観客を前に演じたことを思い出していた。専門学校在学中から通い始めた声優スクールでは加藤治、北浜晴子両氏の演出のもと倉橋由美子「大人のための残酷童話」から「三つの指輪」をチョイスし一人語りに挑戦した。尺は15分から20分ぐらいはあったろうか、台詞を覚えるのに苦労はしたが入ってしまえば自信をもって臨むことが出来た。あまり細かいダメ出しはされなかったように記憶している。それ以外では最初に所属した事務所の先輩とワークショップで知り合った同業者などの有志で行った朗読劇――これは音響ディレクターを呼んでプレゼンをするという趣旨があったもののお目当ての方は来場せず、準備も万全とはいえぬものでとにかく酷い内容だった。また同時期に別の仲間が立ち上げた劇団に参加するも数回読み合わせをしたのみで公演には至らず自然消滅、それ以外で舞台に立ったと言えば森尾ナオアキ氏が一時期に企画、催行していたベストパフォーマーなるイベントでコントまがいの寸劇をやったことがあるだけ(これもかなり酷い内容だった)。業界関係者が多数来場するからビジネスとしても大きなチャンス!という謳い文句だったが実際に仕事に繋がる人は居るのか?と考えるとかなり怪しい印象があった。自分はそんな思いから一度限りで離脱したがイベントは6回ほど開催されその後の動きはないようだ。狭い業界内でこんなことをすれば自分の身にどんな影響をもたらすかはわかろうものだと思うが、個人でワークショップを開催しつつお気に入りの生徒をウェブラジオのアシスタントに使うなどしているかつての共演者もいたりして、この世界はあちこちにおかしなトラップがある(その手のものに引っ掛かってはいけないのだよ!)。ごく稀な例では桐本拓哉さんの企画によるジバラジオ(スネークマンショー的なコントをYouTubeで公開するシリーズ)に誘って頂いた時はまさに「オトナの遊び」に参加したという楽しさがあったけれどね。そう考えると自分は舞台にはあまり縁がないのだな。


今日の生徒たちはレッスン時の硬い表情とは打って変わってのびのびと、そして楽しんで演じていることが伝わってくるようでこちらも嬉しかった(この日までに様々なアクシデントがあったことも知っているので、生徒と演出の先生のご苦労も偲ばれる)。役を演じることでそこに宿る生命の躍動があり、キャラクターそれぞれの人生(ストーリー)が描かれる。表現することがこんなにも楽しいんだということを、どうか忘れないでほしい。人間のすべての感情を自在に操り演じて見せるのが役者なのだ。素晴らしい体験を喜びとともに、さらに昇華させて行って欲しいものだ。生徒たちの未来に差す一筋の光となりますように――。


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