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忘れてはならぬもの。

更新日:4月17日

2025年4月15日


組合員として登録している日俳連(日本俳優連合)から新しい「音声業界ハンドブック」が届く。一般には出回らない物だが簡単に言うと声優業界における決まり事、ランク表、ギャラ、放送業界をとりまくルール等が仔細にわたり明文化されている。フリーの頃でさえ熟読していなかったぐらいで事務所に籍を置く今ではさらに手に取る機会はそうそう無いが、長い歴史の中で築かれてきたもの。アテレコの黎明期から試行錯誤を経て音声業界が培ったもの、また諸先輩方が勝ち取ってきたものでもあり、これによって声の表現者は守られているし、またある意味では縛られることにもなっている(映り=映像系の役者、板=舞台系の役者に比べると声優はかなりハッキリしているのだ)。つい先頃新人のギャラがアップしたという報せを聞いた。わずかな額ではあったがこれも折衝を重ねに重ねてきた上でようやく認められたものだろう。改めて、プロフェッショナルとしての自覚を新たにするところだ。

最近SNSで(どうしてもなりたいと思っている声優――でもその壁は高い・・じゃあキミもYouTubeナレーターにならないか?)という広告が数種類出回っている。一見それらしく聞こえの良いナレーションが流れてくるが、第一線で活躍しているナレーターのレベルには程遠いものだ。わずかな金に釣られて芸道を究めることを捨てるか、志高くプライドを捨てずに勝負の世界で戦うか。生き方は人それぞれだなと感じつつも、若き頃の研鑽の日々に受けた恩師たちの指導を無にすることのない誇り高き矜持はやはり捨てたくはないと思う。自分がどんな道を辿って、今どんな場所に立っているのか――それを決して忘れてはならない。


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