2024年3月27日
見事な切子硝子のお猪口たち。お酒を注文すると好みの酒器を選べるという粋なサービス。個人的に切子はあまり関心がなかったんだけど、両親が頂き物の薩摩切子のペアのお猪口を持っていて大事に使っていたことを思い出す。父は青、今は亡き母のは鮮やかな赤。傷がついてしまっていたけれどこれは母さんのだからなと父は献杯する時に霊前に恭しく供える。熟練の職人の手によって丁寧に作られた伝統ある工芸品は一級の美術品でもある。並べられた数々のお猪口の表情が違うように、人それぞれにも人生のストーリーがある。それは極めてパーソナルなものであって、軽々しく揶揄したり嘲笑したりしてはいけないものなのだ。

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